学校の遠足や修学旅行の前に出される注意書きには、必ず慣れた靴で来るように、などと書いてあるのが普通です。というのも子供たちの中には、楽しみな旅には思いっきりオシャレを楽しみたい、或は初めての靴を華々しい場で試してみたいと思いがちだからです。しかもこのような気持ちは、子供だけではなく、往々にして大人にもあるものなのです。そのため旅行にしろパーティーにしろ、新しい靴を履いて、靴擦れして痛い思いをしたことのある人は、少なくないはずです。
中には旅行中に靴擦れして、観光地の下駄を買ってしのいだなどの笑い話もあるくらいです。一般にオーダーシューズと言えば、世界の王族や富裕層などが、特別に利用するものだと思われがちです。ところが考えてみれば、こうした習慣は、昔の日本では当たり前だったのです。着物が日常着だった日本は、着物はもちろん当人のサイズに合わせて仕立てる他、足袋や草履、下駄すらも、自分の足に合わせなければ、そもそも生活出来なかったからです。
現代でも落語家や歌舞伎役者は、自分の足袋をオーダーメイドにしている人が少なくありません。足袋を作る時は、足のサイズはもちろん、足の甲の高さや指の長さなど、個々人で全く違います。ピッタリした足袋は、足に優しく、見た目も美しいのみならず、生活する上でとても快適なのです。そのため本来は、現代人もオーダーシューズを作っても、何ら不思議はないのです。
オーダーシューズは、確かに費用は掛かりますが、長い目で見ると、大変お買い得であることは間違いありません。